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zoom RSS クニマス再発見

<<   作成日時 : 2010/12/16 02:08   >>

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最近サイエンスネタばかりが続いていますが、そのうちまとめて、神社日記を上げます。
たぶん・・・

なので今回は、
昨日のニュースで、
さかなクンが大発見に貢献した!
と報道されていたクニマスについて、ちょっと考えてみたいと思います。

まず、さかなクンとは(笑)、甲高い声できゃーきゃーと魚について語るタレントさんです。魚の被り物といい、その独特のキャラクターといい、キワモノ芸人の様に見えなくもありませんが、実際は、魚の知識においては、そんじょそこらの漁師も学者も敵わないくらいの知識の持ち主。
実際に、東京海洋大学の客員准教授もされています。

その、さかなクンが、クニマスのイラストを描いてくれ、という京都大学からの依頼に対し、全国のヒメマスを取り寄せて調べた結果が、山梨県の西湖にクニマスが棲息しているという今回の再発見につながったというのです。


そもそも、クニマスというのはなんでしょうか?


クニマスというのは、名前の通り、マスの一種です。
学名:Oncorhynchus nerka kawamurae。サケ目サケ科です。


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(写真は、秋田/田沢湖駅の駅構内にあったクニマスについての説明板)

サケといえば、川で産卵して、孵化後の稚魚が海にくだり、再び産卵のために遡上してくる。というライフサイクルをとる魚類ですが、マスは、このサケの仲間で、一般的には、『陸封型』と言われています。
最近では、陸封型ではなく、残留型とも呼ばれているようですが、用語の違い程度の問題です。
つまり、海に下らない。陸水(川や湖など)で一生を終える魚のことを言います。

なぁんだそれだけか、と簡単に思うなかれ。
淡水魚が海水魚として海に下ると言うのは、実はとっても大変なことなんですよ。

それは、『浸透圧』の問題です。

海水は塩分濃度が高いので、海水では、体内から水分が奪われて脱水状態になってしまいます。そのため、積極的に塩類を排出する一方、尿量(水分の排出)を抑えられます。
淡水では逆の現象が起き、たくさん入ってくる水を、積極的に尿として排出する必要に迫られます。

この浸透圧問題を解決するために、降海するシャケは『銀化』といって、体が銀色っぽくなるって言われています。


さてさて。われらのクニマスですが、この陸封されたシャケの一種で、秋田県にある田沢湖の固有種でした

画像



田沢湖は、ほぼ円形の湖で、423.4メートルという水深は、日本一の深さ!


画像



クニマスは、この深い深い湖で生活していた固有種だったのですが、1940年に絶滅しました。

絶滅の理由は、湖が酸性化したからなんです。
発電所の建設と農業振興(玉川河水統制計画)のために、これまで田沢湖に流れ込んでいた川をやめて、別の水系から水を入れることになりました。
浅はかな人間が、思いついちゃったんですね。

それで、クニマスの生態についてちゃんと調べないままに、別の川から水を入れました。
それが、玉川毒水なんて言われてしまった、玉川温泉からの水だったのです。
玉川温泉は、pH1.1に達する強酸性の温泉。

クニマスは、サケ目の中でも特に、この酸性の水に弱かったのです。
田沢湖は急速に酸性化し、固有種であったクニマスは絶滅。その後も水質は悪化し、ほとんどの魚類が死に絶えたそうです。
田沢湖がひっそりと静まり返っているように見えたのは、生命の気配がなかったからなのでしょうか。


そのクニマスが、今回、遠く離れた山梨県の西湖で発見されたということなのです。

さかなくんの指摘により、京都大学の中坊徹次教授率いる研究チームが、色が黒っぽい西湖のヒメマスを調査した結果、クニマスであることが確認されたそうです。
確認方法は、解剖学的方法と遺伝学的な方法を採用し、間違いないというお墨付き。

めでたしめでたし。


と、本来はなるはずなのですが、ここでよっく考えてみて下さい。


田沢湖固有種だったクニマス。

おそらく、太古の昔に陸封されたベニザケが、徐々に変異をし、同じように陸封されて進化したヒメマスとはまた違った形態を持つマスに変化したのです。

まったく同じものが、遠く離れた西湖にいるなんておかしいですよね?


実は、クニマスの個体数が激減してきた頃に、人工的に西湖に放されたのだそうです。
それは良いことなのでしょうか?
かつては、良いことだと考えられていました。

しかしこれは、生態系のバランスを崩す危険な行為です。
クニマスが導入されたことで、西湖にいた従来の生物が、何らかの影響を受けたはずです。
競合するヒメマスがいなくなってしまったのかもしれません。

生態系の保護をしようとして、思わぬところで別の生態系を破壊していることがある、というのは、常に意識して、気をつけていかなくてはいけないことなのですね。


あなたが庭に植物を植える時、あなたが池に他の場所から持ってきた魚を放す時、一瞬立ち止まって、その行為が生態系全体に及ぼす影響について考えてみる。そんなところにも科学は潜んでいます。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
さかなくんは偉い
しかし、田沢湖のクニマス絶滅はそんな理由だったのですか。温泉の水をいれたのかあ

西湖のヒメマスとクニマスは今のところ交雑なしに共存しているっぽいですが(でも、調べないとわかんないんだろうな)、結果オーライなだけで、ニッチを取り合ってヒメマスを絶滅させた可能性はあるわけね、たしかに。
難しいものだ
きくまこ
2010/12/16 02:16
あ、むしろヒメマスは絶滅なの?
きくまこ
2010/12/16 10:17
何度もすみませぬ
ニュースを確認したら、やはり、今のところ西湖にはヒメマスもクニマスもいて、しかも交雑していないみたいですね。どうしてそんなことができるんだろう
きくまこ
2010/12/16 10:21
ヒメマスとクニマスは、それだけ遺伝的に離れているってことでしょう。進化の早い段階で分岐しちゃって、その後にクニマスが独自の進化を遂げたのですね。

ヒメマスがいなくなってしまったのかもしれません、

は、比喩的で、実際にはヒメマスとクニマスが共存しているってことですが、高次捕食者が2種類いるってことは、その下に連なる生態系に何らかの影響を与えているはずなんですよね。それが何かは、今となっては分かりませんが、やっぱり本来いないものを、いないところに離すのは良くないです。
まや
2010/12/16 12:40
初めまして。
ヒメマスとクニマスが交雑しなかったのは、繁殖期が違っていたかららしいです(ヒメマスは秋、クニマスは春)。
今回ヒメマスと違うと判定した理由のひとつに、ヒメマスの産卵しない時期に、産卵のために尾びれがすり切れた個体が見つかったこともあるそうです。
foxhanger
2010/12/24 13:17
foxhanger様
クニマス&ヒメマス追加情報、サンクスです
ヒメマスとクニマスは、繁殖期が違うっていうのは重要ですね。さかなクン(さんをつけるべきか悩む)の話によると、ヒメマスを参考にクニマスのイラストを描こうと思ったということだから外見的には似ているわけですよね。
寒い秋田の湖(でも深いから凍らない)で秋に卵を産んだら大変だから、春にしたのでしょうかね?クニマスがいつ頃ヒメマスと分岐したのか、調べている人いるのでしょうか。
また何か分かったら教えて下さい。
まや
2010/12/25 01:27
おお、繁殖期が違うのか!
きくまこ
2010/12/26 03:11

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